Chienomi

Axon7 レビュー - ちょっと想像を絶していた

ケータイ

  • TOP
  • Old Archives
  • Axon7 レビュー - ちょっと想像を絶していた

選択経緯

サブ機はHUAWEI P10 lite, ZTE Blade V8, ZTE Axon7で悩んだ末のAxon7。 世代が古いせいか急激に安くなったのがポイントだった。

(歴代愛機では) ぶっちぎりの高性能

旧世代といってもフラッグシップモデル。 SD820を採用し、Antutuスコアは15万を越える。 SD835モデルでもOnePlusやGalaxyを除けば16万台なので、全然現役、というかさすが800番台。

旧世代なので重さとか大きさとか残念なポイントもあるのだけれど、旧世代ならではの点もある。 ディスプレイ解像度が高いのだ。

一時期ディスプレイ解像度は上がっていったのだけれど、結局バッテリーとトレードオフしている割に効果がないということでFHDに回帰しつつある。 なので割と貴重な高解像モデルだったりする。

ZTEはSD835モデルを出していないので依然としてフラッグシップモデルで、 実はフラッグシップモデルに対する意気込みを結構感じることができた。

音に関しては素晴らしい

Axon7は結構音に関する点を押していて、DOLBY ATMOSを採用している。

DOLBY ATMOSは対応コンテンツのみで効果を発揮するので現実的にはあまり見どころではないのだけれど、 DOLBYのイコライザ、結構良かった。

単純に音を整えるだけのイコライザであれば、ほっとんどいらないのが実情で、 せいぜい使っているオーディオに合わせて尖った出方をする部分を潰すくらいしか使えない。 VLCのイコライザとか使ってみればわかると思うのだけれど、音楽を作るときに相当追い込んでミックスしているので、 音量バランスを崩すことでいい音には基本的にならないのだ。

ところが、タイミングやリバーブのようなエフェクトの掛け方まで重ねていくことで、全く違う世界が見えてくる。 ある意味邪道とも言えるこうしたイコライザはCowonのJetEffectが強烈で、ものすごいいい音に聞かせてくれるのだけれど、 DOLBYはさすがもっと攻めていた。 JetEffectみたいにまるで音源がいいものであるかのような感じじゃなくて、もっと演出的に感じる。 それこそ、映画館で聴く音楽みたいな。

DOLBYというとアナログカセットテープデッキのことを思い出してしまうおっさんは(私含めて)多いと思うのだけれど、 あのわざとらしく古臭い感じはだいぶ減ったと思う。

イコライザ自体がパライコもどきみたいなものになっていて、現実的なレンジでいじらせるので遊んでるとそれぞれに味が出るのもいい。 ただし、手軽ではあるのだが、Zenfone 4 Selfie Proのような細かなセッティングができるものではないため、どちらかというと雰囲気重視か。 そして、全体的に「迫力を出す」方向性なので、若干疲れる。DOLBYだしシアター向きなのかな。

いいD/A載せてるということもあって、たしかになかなかいい音を出してくれる。特にスーパーモード。 まあスマートフォンなので、「アンプとノイズ…」といいたくはなるのだけれども、ポータブルで求めることでもないだろうし、 ノイズに関してはガチで音楽聴くのなら機内モードにしてしまえばだいたい解決する。

とりあえず高級DAPいらずな仕上がりなのは確か。Cowon plenue買わずに済んだ感ある。

なお、付属ヘッドセットがイヤーチップが大きくてプラ部品になってて穴が複数あいているタイプなのだけど、 これは私としては耳にまったくはまらないので嬉しくない。ASUSの付属ヘッドセットのほうが絶対いい1

音楽アプリがアルバムにもアーティストにも対応しておらず、フォルダ再生がトラック順でもファイル名順でもなく曲名順になってしまう点は直してほしいが。 VLCの起動制御がうまくできないのか、VLCでの音楽再生はバッテリーを結構消耗して警告もされる。 このため私はPulserを使用するようにした。

スピーカーは非常に細かくボリューム調整が可能で、最大音量がかなり大きい。 超爆音だったOukitel K40002よりは小さいけれど、雑踏の中でも目立つ大音量が実現する。

超カメラ

それほど語られてない、というかむしろ残念みたいに言われているAxon7のカメラなのだけれど、 いやいや相当すごいよ?

Zenfone 4 Selfie Proによる写真
Zenfone 4 Selfie Pro: 明暗は潰れて黒と白に近い状態
Axon7による写真
Axon7: 白飛びしているようにも見えるが、影による階調もあり、Zenfoneのホロもよく出ている

まずFHD 60fps / 4k 30fpsが撮れるという時点で相当なのだけれど、静止画は20Mpxの撮像素子で、 カメラ優秀な上にソフトウェア的にHDRがんばっているZenfoneを凌いで、「まっしろとまっくろの箱」を並べてきっちり移してくれるという超優秀カメラだったりするのだ。

みてわかるとおり、Zenfoneのほうもかなりがんばっているけれども、Axon7は白も黒もきっちり出しつつ、なんと虹色に反射するZenfoneのケースの色を完璧に写している。 これって写真になるんだ…と思ってしまった。

さらに手ブレ補正もある。とても嬉しい。 マニュアル撮影モードもあり、高級コンデジ並の撮影が可能だ。

これはもう完全にコンデジいらずである。

なんということだ。DAPよりコンデジより安いのに、DAPもコンデジもいらないというのか。

ただ、ひとつ大きな難点がある。シャッター音がやたら派手で大きいのだ。 いくらなんでも…というレベルなので(小型のデジイチより大きな音がする)、もうちょっと小さくてもよかったのではないか。

また、4k H.265動画撮影時は猛烈に端末が熱くなる。

暗い場所ではフォーカスが遅め、という問題もある。

さすがSD820

Zyonという音ゲーをやってみたところ、描画がとってもなめらかで、ラグなく反応してくれる。

K4000Proだとゲームにならないほどのラグがある。 ラグが一定ではないので、音楽ゲームとしてはほとんどなりたたない。押すタイミングの正確さが関係なくなってしまうから。

Axon7はさすが、とても安定している。スコアもとても伸びた。 仲良かった子がお勧めしたからという理由でやっていただけなので今はもうやらないけれど、 超重いBeatgather Uもさくさく動くのでは。

世界にはあるんだけどね

こういうSD800系を積んだゴリゴリのスマホで安いやつは中国系メーカーには結構あったりするのだけれど、 技適という法的な問題と、電波周波数帯というおま国的事情が立ちはだかる。

そういう世界水準(中国水準?)のお値段で、日本で合法的に、日本の電波をつかんでくれるフラッグシップモデルって、なんて素晴らしいんだ…

美しいディスプレイと滑らかさ

高精細ディスプレイを採用しているので、最近の有機ELモデルとはまた違った美しさだ。

なお、自動輝度調整がちょっとあわただしい。 細かく切り替わってほしい人もいるだろうけれども、明るい環境ではちょっと傾きが変わると輝度が変わるのでZenfoneよりも先にオートはオフにした。

輝度調整は最も暗い状態では闇の中でも目立たないほど暗く、明るい状態では真昼の光の中ではやや厳しい状況もありえる程度でや物足りない。

そして注目したいのがガラス。 なめらかなので指のすべりがいい。スワイプが気持ちいい。

本体は重い

表記重量は175gで、実測はバンカーリングをつけた状態で188gなので恐らく表記重量程度なんだろうけれども、 持った感じは明らかに重い。Zenfone Selfie(ZD551KL)と同程度とはとても思えない。

寝ぼけ眼では持ち上げにくいレベルだ。

ホームアプリはミニマム

機能は最小限でドロワーもない。

私の場合Axonはサブ機なので別に構わないのだけど、ちょっとこれは不便かもしれない。

しかし実際のところあまり困らないということにも気づいた。 ドロワーがなければ、自分でフォルダ分けして整頓するからだ。

困るのは標準アプリの無効化ができないこと。 アプリから無効化すれば良いのだけど。

余計なものは入っていない でも便利なものは揃っている

WPS Office, AccuWeatherが入っている程度で余計なものはほとんど入っていない。

一方、シンプルなギャラリーやカレンダー、ダウンロードマネージャ、ファイルマネージャなどは良いアプリだ。

この辺りは好みにもよるだろうけれど、余計なものが入っているのが嫌な人にはお勧め。 私はZenUIくらいのバランスがいい。

独自機能自体はMi-POPというナビゲーション機能があるが、Axon7は画面内にナビゲーションを表示する方式ではないためメリットが薄い。

NFC搭載で、メニューアイコンからのオンオフが可能。

「ツール」に“コンパス”, “ライト”, “電卓”, “ノイズ測定”, “定規”, “分度器”, “水平器”, “水準”と揃っていて、超便利。これはたまらない。

なんとメニューボタンを持っている

Yukari起動時にメニューがでなくて困惑したのだけれども、Android4時代はおなじみだったメニューボタンが、戻る長押しにアサインされている。

指紋センサー

角をもったときにちょうど人差し指がくる位置。 反応はすごく速いわけではないが、なかなか良好。

バンカーリングを使用した場合ちょっとアクセスしづらくなる。

Zenfoneと違い、指紋でのロック解除を有効にしていると起動時も指紋でアンロックできてしまい、再起動してもロックできない。

バッテリーセイバー

割とバッテリー消費は激しい印象なのだけど、現実にはなかなか使いにくい省エネモードを搭載しているほか、 アプリごとの管理が可能。

ただし、アプリごとの管理はわかりにくく、効果もいまひとつ。 自動起動はZenUIのようにまとめてくれたほうが嬉しかった。

日本語入力

SHARP, HTC, LG端末でもおなじみiWnn。 HuaweiやSamsung端末もiWnnらしい。

SD820搭載のAxon7をもってしてもちょっと反応が遅く、Google日本語入力のほうがさくさく。

ホールド感

丸っこく、さらっとしているので落としそうになる。

はしっこのほうを握るようにすると安定するが、乗せるタイプの人には危険。

使い勝手ならZenfoneだけど

ZenfoneはZenUIの出来も含めて便利機能満載なので、とても使いやすい。 なので使い勝手という面ではZenfoneに分がある。 この感覚に関しては、国産端末にこだわる人の気持ちもわからないではないものだ。 おサイフケータイがないと、防水でないと…みたいなことを言う人は多くて、そういう人にとっては性能ではなくそうした一部の機能性が快適さに直結している。

別に私はそういうことは思わないのだが、やっぱりUI周りの快適さや、豊富な機能といった面から、日常的に使うならZenfoneに分があるし、 両方ともnanoSIMになったので別にどちらをメインにしてもいいのだけど、やっぱりZenfoneがメインだなと思ったりもする。

けど、インパクトがあったというか、「すげぇ!!」ってなったのはAxon7のほう。 当たり前なのかもしれないけれど性能面ではとてもかなわない。 音楽も写真も処理能力も、というとZenfoneの出番がないのでは?と思ってしまうほどだ。

利便性が高くバランスの取れているメインのZenfoneに対して、高性能なAxon7をサブにするという選択肢は、その差別化もはかることができ、非常によかった。

Zenfone 4 Selfie ProはZenUIの使いやすさや、薄型軽量であること、ソフトウェア的な使い勝手の良さ、さらに優れたマイクと自撮り、ヘッドフォンと耳に合わせてチューニングされた疲れない音といった強みがある。

対するAxon7は処理性能のアドバンテージと、カメラも素でDACも高性能なデバイスといったNexusにも見られる高性能デバイス路線に最低限に、しかしあることによって使い勝手が大幅に大幅に向上するチューニングが施され、最小限のモディファイで最大の効果を発揮、余計なものはないというキャラクターだ。

スマートフォンは本質的にコミュニケーションツールなので、普段使いとはコミュニケーション主体にした設計となる。 導入されるアプリケーションもLINE, Skype, Discord, Xabber, Jitsi, さらに言えばICQ, Kakao Talk, Viberなどだ。 あるいはTwitterやFacebook、そこから派生してのウェブブラウジングとYouTube…といったことだ。 これらは性能はあまり必要とされないが、ほどほどないとストレスになる。

Zenfoneのほどほどにはある性能と良い使い勝手、優れた入力フィール、軽量といった特徴はまさにこうした「普通の使い方」に適している。 このような普通の使い方では使い分けが生じないわけで、そのような「使い勝手のいい端末」に対するサブとは何か…というと、やはりスマートフォンが持っている「遊びの部分」に求められるだろう。

ゲームをする、動画を見る、音楽を聴く、画作りをして写真を撮る、動画作品を作る… といった遊びの部分を突き詰めてくれる。 実用的で使いやすいスマートフォンのサブとして遊べる高性能スマートフォン、まさに理想的な組み合わせだ。 そもそも、実用性だけを求めれば、SD800系などいらない話になる。

高性能デバイスからくるいい写真、いい音や、その性能を活かすことができる迫力を演出するDOLBY ATMOS、そしてSD820といったデバイスを揃えた上でどう使うかはユーザー次第…という、「自分の使い方」があって、高性能デバイスがあれば何ができるかを分かっている「玄人好み」なスマートフォンだと思う。

洗練を問われれば厳しいものもあるが、無骨に性能を詰め込んだといった趣で、 頼れる、遊べるスマートフォンだ。

私の場合はコミュニケーションツールという面を重視しており、遊びの部分ではスマートフォンはほとんど使わない3ためにAxon7がサブとなっているが4、スマートフォンはコミュニケーションにも使うが、一方でゲームや動画鑑賞など


  1. とても高音質というわけではないのだけれど、割と低音ゴリゴリで私は好きだ。↩︎

  2. K4000 Proはそこまでの大音量にはならない仕様に変更された。↩︎

  3. 基本的に家でスマートフォンを使うこと自体があまりないのだ↩︎

  4. 他にもいくつか理由がある。ゲームを含め「厳選していないアプリケーションを多くいれる」という使い方はセキュリティ的に問題があり、コミュニケーション情報や金銭的情報を集積しやすいメイン端末ではあまりしたくないものだ。必然的に、メイン端末は「厳選された信頼できるアプリとやむをえないアプリ」で構成される。↩︎