Chienomi

音楽再生環境の整理

Live With Linux::misc

この記事は「機材を活用して、合理的・効率的な環境を作る」という話である。

前提

まず、現在の音楽再生環境をまとめる。

環境 フォーマット ライブラリ description
メイン FLAC マスター ライブラリはNASと同期されるマスターであり、スクリプトやアルバム単位のm3uを含む
寝室 Opus フル メインから変換している。ストレージに余裕がなく、312kbps Opusになっている
Axon7 FLAC フル 宅内で家事などをする時に聴く用
Xperia XZ3 FLAC フル 外出時に聴く用。バッグにいれっぱだったりする
Walkman WM-A50 AAC 旧フル 312kbpsのlibfdkを使ったAAC。外出用だったが、不調のため最近はライブラリ更新もされていない
防音室 AAC ごく一部 ドラム練習用なので、練習する曲だけ
ThinkPad X1 Carbon AAC プレイリストにあるものに限り、限定的
Find X2 Pro FLAC 最近熱心に聴いているものだけ

以前はマスターライブラリがなく、手作業で作ったAACライブラリを寝室PCにまとめ、それをメインPCと携帯プレイヤーに転送する形をとっていた。

しかし、現在はメインPCにマスターライブラリを構築し、それをFLACのままSDカード容量を増加させことで収録するという方法に変更されている。

だが、寝室PCは容量の関係上、FLACのまま持たせるのが難しい。 そのためOpusに変換しているのだが、これのためだけに変換するのがちょっと面倒くさい。

寝室に……いるか?

もちろん、寝室で音楽を聴くことはある。 というより、寝室ではそれなりに心地よく音楽が聴けるように、オーディオPCであるVAIO MX2が設置され、AUX経由で音楽を再生することもある。

音楽を聴く環境としてはワークルームのほうがクオリティが高いのは確かだが、音楽を聴く重要性は寝室が劣るものではない。

――この理屈で寝室がAACのマスターライブラリを持っていたわけだけれど、今は事情が違う。 そしてライブラリを構築したときと違い、「宅内で音楽を聴く用のプレイヤー」というのが用意されているのだ。 それにより、家の中でロケーションを問わず自由に音楽を聴くことができる。

もちろん、直接聴くという意味ではヘッドフォンに出力するにはパワー不足ではある。 そのため、単純に宅内向けポータブルプレイヤーを導入しても音楽再生環境としては限られたものになり、PCにライブラリを入れる代わりにはならない。

だが、多くの機器にはPortable inやAUX inという形でオーディオ入力端子を持っている。 これらは基本的にポータブルプレイヤーから3.5mmで入力することが想定されており、イヤフォン向けの信号強度をアンプに入力するジャックとなっている。

私の環境でこのようなジャックを持っているものの一例としては

  • 小型PCスピーカーのMS-76MA
  • 3インチデスクトップモニタースピーカーのBX3
  • オーディオコンポのDRA-F102
  • オーディオプレイヤーとして起動可能なオーディオPCのVAIO MX2

といったところで、意外といろいろなものについている。

寝室PCの場合、M-TRACK DUOからBX3につながっていて、M-TRACK DUOにヘッドフォンをつなぐか、あるいはBX3で鳴らすかという形になっているのだが、BX3で鳴らす場合はBX3にAUX inがあるため、ポータブルプレイヤーを接続して再生できるし、ヘッドフォンを使う場合でもBX3にイヤフォン端子があるため、これを利用することができる。 あまりハイインピーダンスなヘッドフォンは難しいが、寝室で主に使っているヘッドフォンはK712 Proであるため問題ない。

また、MX2で聴く場合もMX2にAUX端子があるため、ポータブルプレイヤー経由して鳴らすことができる。

この運用を前提にすると、寝室PCが内蔵で音楽データを持っている必要性はあまりない。 さすがにスマートフォンからMTPで音楽再生するのは現実的な話ではないが、メインPCにSSHFSというのは可能であり、寝室からオーディオライブラリを削除することにした。

ラップトップも

ラップトップにフルではないながらオーディオライブラリがあるのは、ラップトップで外作業することが多かった頃に、音楽を音楽を聴きたいと思うことがあったためである。

ただ、これに関してはよく考えるとわからない話だ。 もともとポータブルプレイヤーは持っていて、わざわざラップトップから再生する理由がない。 外での話だからイヤフォンなどの再生機器も手持ちのものに限られる。

とすると、ラップトップで再生できるようにする意味はなさそうだ。 どうしてもラップトップから再生したいなら、ポータブルプレイヤーのmicroSDを使って鳴らすこともできなくはないが、明らかに無意味だ。

シンプルにポータブルプレイヤーを持って出れば解決なのだ。 結局ラップトップからもオーディオライブラリを削除した。

防音室は?

防音室のPCはそもそもSSDが250GBなので、オーディオライブラリをフルに収録することはできない。 なおかつ、防音室の中は電波状況も悪いため、SSHFSでマウントするのもなかなか厳しい。

とはいえ、ドラムで叩く曲はライブラリの中の本当にごく一部であるため、FLACでも特に問題ない。 単純に厳選してコピーすればOKだ。

結果

シチュエーション 方法
ワークルームでの作業中 メインPC内にライブラリがあるため、プレイヤーアプリで聴けばよい。メインPCにつながっている様々なオーディオデバイスで楽しめる
ワークルームでの音楽鑑賞A メインPCからオーディオコンポに接続されているので、出力を選択し、スイッチャで選択すれば良い
ワークルームでの音楽鑑賞B オーディオコンポのAUXにAxon7を接続して鑑賞できる
家事中 Axon7にイヤフォンやスピーカーを接続することで聴くことができる
寝室での作業中A メインPCが起動しているのであれば、SSHFSでマウントすることでPCから鳴らすことができる
寝室での作業中B メインPCが起動していない場合、BX3のAUXにAxon7を接続することで聴くことができる。BX3にヘッドフォンを接続することで、ヘッドフォンも利用可能
寝室での音楽鑑賞 MX2のAUXにAxon7を接続することで、MX2のスピーカーから聴くことができる
寝るとき 寝る時に聴きたい曲はFind X2 Proに入っているので単純にそれで聴ける。もっとちゃんと聴きたい場合はAxon7で聴ける
外出中 XZ3で音楽を聴くことができる
外での作業中 XZ3で音楽を聴きながら作業すれば良い
防音室でのドラム練習 練習で使う曲は防音室のPCに入っているので問題ない

どうしてこの記事?

「〇〇をしたい」と考えたとき、それを実現する方法を構築すると、全体で考えてみたときに重複する要素や、冗長な要素が発生することがある。 また、好みやこだわりがあるものに関しては、明確な使い分けがなく、なおかつその利用に無駄なシステムを構築してしまったりすることがある。

私の場合、ポータブルプレイヤーがふたつあることに関しては、お出かけと衛生に関わる事情で、これは良いのだが、ワークルームに3系統の音楽の鳴らし方があり、寝室にも2系統の音楽の鳴らし方があるというのがうまく消化できていなかった。 これはそもそも、ライブラリはポータブルプレイヤーに収まらず、「オリジナルライブラリ」と「変換済みライブラリ」が必要であるという事情に起因していた。

この問題を考え直し、精査することで従来上手く活かせていなかったものも活用できるようになった。

結局この記事で何が言いたいのか。 それは、仮にひとつのもの、あるいは現状のものに対して最適化を進めたとしても、システムの拡張や進展をさせていくと全体としての最適は損なわれていくということ、そして全体としての最適を取り戻すためには、それまでの最適化から発想を変える必要があるという話だ。

また、システムの拡張によって単に拡張部分を活用するような考え方になりがちだが、拡張された分、活用する組み合わせはより複雑に増加する。 今まではなかったより有効な活用方法が発生することもあるため、発展に伴って改めて考え直すことはかなり重要だ、という話でもある。