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【退職エントリ】 Inflaton株式会社を退任しました

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実はInflaton株式会社を退任したのは結構前なのだけど、なかなか退職エントリを出せなかった。

理由は割と簡単な話で、実は8月に一度退任していて、この際に退職エントリはかなり事細かに書いていたのだけど、そう、「未公開のChienomiの記事」がどうなったかはみなさんご承知の通り、データを吹き飛ばした影響で一切なくなってしまったのだ。

それでちゃんと書き直そうと思っていたのだけど、あの文量を書き直すとなるととても時間がとれないので、簡単に説明に留め、内容は私が送った内容をオープンレターとして公開するという形にしようと思う。 (一応、名前の類は消しておく)

退職エントリを公開する目的はいくつかある。

まず第一には、就任の告知をしているので、当然ながら退任の告知をしなければ混乱をきたすということである。

そして次に、退任の原因となった事柄から考えても、退任の処理としてきちんと届け出をするかがとても疑わしい(11月6日に退任しているので、法務局には11月20日までには届け出なければならない)。 この場合、辞任は「公知すること」が重要なのであり、当然ながら自身の退任を自身で登記することはできない以上、退任の事実をこうして公開することには意味がある。

さらに、ソフトウェアやサービスを展開する上で、私が今後のInflatonのものと関わりがないこと、またInflatonに対して知的財産の利用権限を付与していないことを明らかにする必要があるという意味もある。

概要

問題は要約すると以下の通りである。

前提として、私が技術担当であり、他2人の役員は「販売担当」「出資者」という位置づけだったことを踏まえてもらいたい。

  • Inflaton創設に当たっては様々な約定が交わされたのだが、そのいずれひとつをとっても守られることがなかった
  • 出資者による出資というのは実際には行われなかった
  • 1月に告知を行い、2月に販売するという話を前提として設立されたのだが、販売担当の役員は11月になっても一切の販売活動をしていなかった (去年12月には商品は出来上がっていた)
  • 単に販売活動を行う意思を見なかっただけでなく、彼が請け負った手続きや事務作業なども全く行っておらず、結局そのほとんどは私が行うことになった
  • サーバー料金を含むインフラ関係の費用や、セキュリティソフトウェアの費用などかなりの額が私の持ち出しになっていた
  • 「販売するために必要である」として、かなり無茶な(というか、普通に考えれば不可能なレベルの)開発量をこなしており、それに加えて運用・保守などもやり、役員がしないために事務手続きや商談なども全部私がやっている状態であった
  • それでも私に報酬は全く支払われず(報酬額面はちゃんと設定されている)、その理由として販売がないというのだが、販売についてはやるといって約束はするものの、実際には販売活動をしていない
  • Mimir Yokohamaのサービス・商品の無償提供を再三に渡り要求。実際に一部の商品を無償で提供することとなったが、無償提供の要求は拡大し続けた
  • Inflatonの最初のサービスは、彼が経営する会社の発注という形で開発されたが、その開発費の支払いを拒否した。また、Mimir Yokohamaの請求に対する支払いの拒否や遅延もあった

オープンレター

Aさんのその主張は事実ではありません。

まず、私は最初から「Mimirの活動分を補えるだけの報酬があるのであれば可能である」と述べています。 だからこそ最初から販売の目処はあるのか、どの程度の収益が立つのかということを訊ねた上で承諾しました。 これは、引っ越しを急がねばならなくなったので開発を延期することになりそうだ、と言ったときに Aさんから出た「Mimirが安定するまで専念してInflatonを後回しにする」という提案に対して「それであればInflatonはできない」と言ったことと同一です。

これについてPlutoはMimirとして開発して提供することとなり、以下の内容でInflatonを継続することが決定されました。 * Plutoの 「開発費として」 利用量を兼ねて最低2年間、15万円でK社が支払う * 12月中にPlutoを開発し、遅くとも4月には報酬が支払われるようにする

そもそも私の余暇時間などというものは存在していないので、「Mimirの時間を犠牲にせずにやる」などというのはそもそも不可能です。 そんな話をしていたら最初から断っています。 大体、そんなことではInflatonの仕事に責任をもてませんから、仮に余暇時間があったとしてもそんなことを言う方とは一緒にできないのでやはり断っています。私は自分の仕事に誇りと責任を持ってやっていますので。

しかし実際にはPlutoの開発費は、1月分が支払われたのみで、2月分の支払いを拒否しています。 Aさんはこれを200万円を理由にしていますが、それは整合しません。 なぜならば、私が引っ越したのは4月で、2月分の支払いを請求したのは1月だからです。 この時点では会社の設立に至っておらず、会社設立次第Bさんが入金するという話であったはずです。しかも、請求時点ではまだ退去の話すら出ていません。ちなみに、この支払われなかった請求書の発行日は1月3日で、支払期限1月31日のものです。

そして、本質的に問題なのは次のことです。

Inflatonを開始する時点で、「1月から販売を開始し、すぐに1000社は契約できる。もしくはより高額にして少ない契約にするかを考えている」と述べていました。 実際にPlutoは1月にリリースされ、当初の仕様にウリとなる機能を独自に加えた状態で稼働していましたが、1月の半ばに告知するつもりであるという話からどんどん伸びていきました。 そして3月に「遅くとも来月から支払ってもらうという話だったけれども、可能なのか」ということを述べたときには曖昧に返され、この時期にStellaの開発の話が既にあったため、販売できないのであればStellaを取りやめるということで話しました。 これに対するAさんの回答は、「Stellaは爆発力があるのですぐに販売できる」ということでした。 それに対し、「本当に販売できるのであれば5月リリースを目指すが、5月にリリースしたとして6月には売れると考えているか?」ということに対して、曖昧ながらも「その程度ではない、一気に行く」という旨回答しています。 この時点で私は「6月には必ず報酬が出るようにすること」ということを条件にStellaの開発を開始しました。 しかし、実際には5月のリリース後も特に活動することなく、販売に必要であると述べて2度に渡って私にK社インスタンスに対する作業を求めました。 このときには「8月に報酬が出ないようではさすがにやっていられない。本当に大丈夫か」ということを何度も念を押していますが、それをAさんは請け負っています。

が、現実として10月も終わろうという今に至っても、全く販売活動をしていないわけです。 それどころか、当初言っていた「K社には仲のいい会社もある」「K社の販路がある」といったことは今やないことになり、 言っているのは「広告を出す」ということだけです。 私は広告によってStellaが売れることはない、と強く確信していますから、まるで話になりません。

結局のところ、「売る」「やる」と言っているだけで、全く何もしていないではありませんか。 私はAさんの「販売する」という約束を信じたわけですが、実際のところAさんはどの約束をとっても果たしていないどころか、果たそうという意思すら見せません。 私は開発に対して責任を持って完遂しましたが、Aさんは販売に対する責任感がないどころか、 今や「自分は販売するのである」という立場も放棄して「無理しないことが大事」などといい出しています。 じゃあいつやるんでしょう? Aさんはいつになったら責任を果たしますか? Plutoがリリースされてから既に11ヶ月。Stellaから数えても5ヶ月。そして今や販売する意思すら持っていない。 何ヶ月あれば売れますか?それとも何年ですか? 周知することすらなく、誰にも知られないままで売れるなんて話は私は寡聞にして耳にしたことがありませんね。私のほうが商談しているくらいなのに。

この問題は以前にも指摘した、K社としての要求に従って開発する形になっている上に販売せず、開発費も支払われていないということが、事実上K社のためのソフトウェアを無償で開発させる行為であるということに対して何の問題意識も持っていないことがわかります。 役員が、自身が保有する会社に利益のために会社を動かして不利益を発生させることは重大な背信行為になりますから、それがまずいということを認識していれば意思如何によらずその状況が継続することは早く解消されなければならないと考えるはずなのですが、まずいと思わないからそう考えないのでしょう。

単に販売活動をしていないというだけでなく、ドキュメントレビュー及び執筆や帳簿の入力など、請け負った作業を何もしていないのであり、Inflatonとしての業務を全く遂行していません。Inflaton取締役としての責務を果たしていないだけではなく、Inflatonの利益に反しているのが現状です。 また、私が私の判断によるInflatonの経営に関する決定権を全く与えられていないのに対し、Aさんはコストが発生するような経営判断を私に対して一切の相談及び通知なく行っていることも問題です。これを対等と呼ぶのは到底無理があります。Aさんが私を軽んじているのは明らかであり、これはMimirに対する不払いの件や、前述のK社のためのソフトウェア開発やサービス提供を無償で求めることも含め、私が奉仕するのは当然であるという感覚であることは改めて説明するまでもないでしょう。

さらに言えば、とっくに出来上がっているものに対して販売もせずにいることに対し、今度は「質が低い」とケチをつける有様です。 なるほど、再三に渡って不払いのあったことも含めて、それがAさんの、そしてK社のやり方なのだなと理解しました。

いずれにせよ、約束を果たす意思がない、責任を持っていないというのに私は一緒にやっていけません。 復帰要請時に言ったこともどれひとつとして履行されておらず、また履行する意思も見せていません。 ですから、今月6日を以て辞めさせていただきますね。

本当に販売する気があって、販売できると思っているのなら、MimirとしてPluto, Stellaともにプラットフォーム貸しします。それを売って利益にすれば良いでしょう。 ほんの数件販売すれば元がとれる程度の額ですから、今までいったことがまるっきり虚構だったのでなければ簡単な話のはずですし、それどころか本来支払わなければならなかった費用も支払わなくて済むのですからこれ以上ないほど美味しい話でしょう。 別に何億円売り上げようが、それを理由に値上げしたりもしませんので、お好きになさってください。

第二の話です。 Aさんは200万円を私に、と言っていますが、それのうちのかなりの部分はInflatonの運営のために支払ったものです。 AさんはInflatonをはじめるにあたって、私に負担はないということを強調したわけですが、 結局私は作業によって多大な負担があったばかりか、本来はMimirの業務であることまで無償提供を要求され、 さらにはそれ以降の高めの運営費を負担しているわけですが、「200万円を私に」ということは、 最初から運営費も含めてすべて私に負担させるつもりだった、ということでよろしいでしょうか。

第三の話です。 Bさんについて散々話に出てはそのいずれも実現していませんが、これはAさんから持ち出し、人物を保証したものであり、 私から見ればその行動すら一切確認できていないわけで、人物の実在性すら確認できない状態です。 この状況において、BさんのことはAさんには責はない、というのはいくらなんでも無理があります。

この件について議論する意思は私にはありません。 問題は明白である上に、その責任について追求する意思が私になく、私のほうがやめる形ですし、 復帰要請時の条件を履行しておらず、履行する意思がない以上辞めるのは当然のことですので。 あるとすればプラットフォーム貸しのことくらいですが、その答も聞くまでもないでしょう。

今後について

私と事業と

今回の損失が非常に大きいので、今かなり必死にお仕事を探している状態だけれども、基本的には私については変わらない。

Mimir Yokohamaについては一部サービスの見直し、改善を行ったが、これはあくまでMimir Yokohamaとしてのものなので、今回の件とは全く関係がない。

Inflatonとは全く関わりを持っていない。(まぁ、株主ではあるのだが、関係はないだろう)

ソフトウェアとサービスについて

Inflatonのサービスは利用者がいないので問題はないだろう。

InflatonにはPluto, Stellaというふたつのサービスがあった。 これらはいずれも知的財産権は私にあり、開発にかかる料金や報酬も支払われていないことから、名称の利用に問題があるとしても、私の所有を阻むことができる要素がまるでない。 このため、私が展開することは可能だ。

Plutoに関しては相当力の入っているソフトウェアで、一部には私の得意分野を活かした解析機能もあったりする。

だが、そのソフトウェアデザインがそのK社によって行われており、私はこのデザインに賛同していないので、より有益で意味あるソフトウェアにするには大きな改修が必要である。 業務用宛名組版ソフトウェアとしては業務に対してかなり良い効果をもたらす可能性があるものではあるが、運営・保守にかなりのコストがかかるものでもあるため(そもそもExcelドキュメントの解析、住所の分析、最適レイアウトの算出、PDF生成とものすごく計算資源を必要とするソフトウェアである)、プラットフォーム貸しを基本としてならばMimir Yokohamaで提供することにした。

プラットフォーム貸しとは、つまり再販可能なインスタンス群であると考えて良い。 ソフトウェアの提供、サポート、メンテナンスなどはMimir Yokohamaで行い、サーバー1台単位で契約する形である。 再販可能なので、そのサーバーを別のユーザーに貸すことができる。サーバースペックは一定であり、サブユーザーに与える権限や、収録するインスタンス数などのQoSコントロールはユーザーがコントロールすることになる。 (推奨に関する情報は提供される)

1社で使うには高額すぎる契約になるので、再販することを前提にする必要がある。

Stellaについてはソフトウェアとしては非常に素晴らしいものであり、最高の設計を持っていることは保証できるが、そもそも「手間はかかるものの初期サポートの窓口として利用できるチャットボット」に商業的ニーズがあるとは私には思えないので、別に積極的に展開したりはしない。

どちらも関心がある方がいれば、Mimir Yokohama宛で問い合わせていただければ対応できる。