Chienomi

Twitterのインプレッション数減少について検証する

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最近、Twitterにおいて何をツイートしても全く反応がなく、アナリティクスを見ると極度に低い(見られていないに近い)ツイートばかりになってきていると感じる。

ところが、アナリティクスの合計インプレッション数を見ると変動はあれど減少している印象は受けない。 だが、これはあまり意味のない話だ。そもそもツイート数によっても変化するし、リツイートや、誰に対してメンションを飛ばしたかということで変動する値のほうがずっと大きく、参考にならないのだ。

私は何を見たいのか。 気にしているのは、「私がツイートしたときに、そもそも人の目に触れることがなくなっている=表示されていない」という疑念である。 見られることがないのであれば、それは空に向かって独り言を言っている状態で、非常に虚しい。

このことを確認するためには、対象はリツイートであったり、誰かへのメンションであったり、バズったツイートではなく、「普段の普通のツイート」、つまり、単に私が投稿しただけでなんらか特別な結果を得ていないツイートが見られることが減ったかどうかである。

これをTwitter上で確認することは困難だ。 そこで、まずはTwitter Dataを使うことを考えた。

だが、Twitter Dataはインプレッション数という値は含まれていなかった。

断念しかかったが、アナリティクスのほうにエクスポートがあることに気づいた。 エクスポートできる場合期間設定に厳しい縛りがあるが、これを使えば検証可能であるように思われる。

そこで、Twitterアナリティクスでデータをエクスポートし、ここからデータを「普通のツイート」に絞るようにフィルタし、その平均インプレッション数の推移を分析したいと思う。

「普通のツイート」を抽出する

私の場合を考えてのことだが、次のように考えられる

  • 他の人に絡むツイート(返信・引用)は、極端に増加する(数十万など)場合があるので、除外する
  • 滅多にリツイートされることはなく、リツイートされると必然的にそのツイートだけが伸びるので除外する
  • 返信された場合も同様に変動要因になるので除外する
  • ハッシュタグを使った場合、見られ方が変わるので除外する

なお、引用はt.coのアドレスの形でしか判別できない。 これはリンクつきツイート、メディアつきツイートとの区別ができないことを意味するが、私の場合それらのツイートはあまり多くなく、あくまで私が単純にツイートした場合のインプレッション数について観察したいため、併せて除外する。

#!/bin/ruby
require 'csv'

csv = CSV.parse(ARGF.read).to_a
csv.shift

date_max = csv[0][3]
date_min = csv[-1][3]

tweets = []

csv.each do |i|
  next if i[7].to_i > 0
  next if i[8].to_i > 0
  next if i[2].include?("@")
  next if i[2].include?("#")
  next if i[2].include?("https://t.co")
  tweets.push i[4].to_i
end

small = tweets.reject {|i| i > 300 }
under80 = tweets.reject {|i| i > 80 }
under50 = tweets.reject {|i| i > 50 }
under30 = tweets.reject {|i| i > 30 }

printf "%s - %s\t%d\t%.3f\t%d\t%d\t%.3f\t%d\t%.3f\t%.3f\t%.3f\n", date_min, date_max, tweets.length, tweets.sum.to_f / tweets.length, tweets.max, tweets.min, small.sum.to_f / small.length, small.max, under80.length / tweets.length.to_f * 100, under50.length / tweets.length.to_f * 100, under30.length / tweets.length.to_f * 100

作表

Twitter インプレッション

表の内容は

  • 期間
  • ツイート数
  • 平均インプレッション
  • 最大インプレッション
  • 最小インプレッション
  • 追加調整 平均インプレッション
  • 追加調整 最大インプレッション
  • インプレッション数80以下のツイートの割合(%)
  • インプレッション数50以下のツイートの割合(%)
  • インプレッション数30以下のツイートの割合(%)

「追加調整」は、私のツイートのインプレッション数が300を越えることは基本的になく、そのようなツイートは何らかの旬な話題として検索されたなど特殊なものであるため、300を越えるものは除外したものである。 270くらいまでは普通にあるため300を閾値とした。

手動で期間を指定してエクスポートする必要があること、エクスポートに結構時間がかかることから全部出しているわけではないが、変動が目立つ2021年4月以降はすべて取った。

分かりにくいが、「減っている」のは間違いない。だいたい平均で100程度だったものが、2021年中に少し減少し、2022年に入ってからは明らかに減少している。 「平均」で見ると誤魔化されてしまう感じがするが、「50以下の割合」「30以下の割合」を見ると一発だ。 明らかに有意な変動が見て取れる。特に「2022年3月からまるで見られなくなった」と言えるだろう。

重要な情報として2020-01-01時点から現在に至るまで、フォロワー数は2倍以上に増えているということだ。 フォロワー数は2倍に増えていながら、インプレッション数は減少を続けている。普通なら考えられないことだ。

フォロワー数が1/10以下で、その半数以上がスパムアカウントという私の創作アカウントですらインプレッション数は30程度が表示されるため、30程度だと「全く表示されてない」と言って差し支えない。 故に長く30以下なんてツイートはなかったのだが、現在は結構な割合を占めている。 なお、現在の私のフォロワー数は374である。

Chienomiのアクセス推移と重ねてみる

理由

Twitterでのリンククリック数は非常に少ないにも関わらず、Twitterでシェアすることは記事のアクセス数に大きな影響を与えていることが分かっている。 Chienomiの大半は検索によるアクセスであることを考えると、検索に影響を与えているのだろう。

そこで、Twitterで投稿が見られなくなったことに伴って、Chienomiも見られなくなっているのか、つまりTwitterの振る舞いが変更されたことで、Twitter外での世界からみた私の存在感に影響を与えているのかという点を検証する。

なお、今回この検証に伴って、カウントするスクリプトを改良し、より厳密に計測できるようにした。

また、YouTube(はるかみ☆ディジット)の再生数も併記した。

PV数 平均インプレ <50 (%) <30 (%) YT再生数
2019 10 13008
2019 11 16943
2019 12 17718
2020 01 24504 100.083 2.752 0.000
2020 02 28077
2020 03 31663
2020 04 31277
2020 05 23602
2020 06 20937 96.926 2.532 0.000
2020 07 24557
2020 08 22658
2020 09 26066
2020 10 21977
2020 11 16254
2020 12 22446
2021 01 21668 95.641 0.680 0.000 227
2021 02 18494 180
2021 03 21667 235
2021 04 22415 109.674 0.000 0.000 206
2021 05 24494 112.773 0.000 0.000 256
2021 06 21752 119.394 0.000 0.000 160
2021 07 21802 101.732 0.000 0.000 202
2021 08 26363 90.982 4.425 0.000 154
2021 09 24438 77.725 10.000 0.000 117
2021 10 23552 88.577 0.000 0.000 124
2021 11 22615 83.894 10.417 0.000 156
2021 12 29147 70.702 29.762 0.000 114
2022 01 35445 76.532 18.750 0.000 682
2022 02 26583 73.354 21.538 0.000 1285
2022 03 26909 50.346 61.538 8.654 5751
2022 04 30367 52.826 65.217 4.348 4956
2022 05 24639 49.859 59.375 9.375 5466
2022 06 29951 48.674 69.565 19.565 1180
2022 07 24004 57.469 65.306 10.204 1519
2022 08 25779 56.094 54.545 18.182 1939

相関の考察

ほとんど、あるいは全くない。

2019年10月スタートなのは、ChienomiをPureBuilder Simplyに変更し、ConoHa Wingでホストし始めた時期の関係である。 また、初期のログは消えてしまっていたので、少しラグもある。 10月はすべての日が存在するわけではないため、10月のアクセス数は正確ではない。

chienomi.orgという新しいドメインで始めたこともあり、WordPress上のカウントで月間30000〜50000だった従来と比べると低調なスタートになっている。

最も多いのは2022年1月の35445、次いで2022年3月の31663だが、全体的に見れば増加傾向、特に2022年は安定して増えている。

2022年に増加したのはYouTubeに力を入れ始め、露出するチャンネルが増えたからではないかと思われる。

30000アクセスだと日平均で約1000PVほど。私の月間ツイートは100〜200くらい、リツイートを除くともっと少ないので、100とすれば平均300インプレッションくらい必要で、世界から見た私の影響力はTwitterよりブログのほうが大きい。 Twitterがソーシャルな機能を発揮していないと言える。

YouTubeの再生は、いくらか貢献しているだろうが、連動はしていないようだ。

問題を推測する

フォロワー数が増加しているにも関わらず、インプレッション数は有意に減少を続けているとすれば、現実的には

  • Twitterをしている人が減っている、あるいは滞在時間が減っている
  • Twitterが私のツイートを他のユーザーのタイムラインに表示していない

のどちらかだろう。 みんながみんなミュートしているというのは、フォロワー数が増えている状況では不自然に過ぎる(し、ミュートするような理由もないだろう)。

この2つの可能性は、どちらも大いにあり得るように思われる。 私のタイムラインの流量も大きく減っている(Tweetdeck, Yukariで見ている)ので、前者であってもおかしくはない。 ただ、フォロワー増に反してインプレッション減が生じていることを考えると後者のほうが有力ではある。

以前は私は「Twitterがなくなると困る」と思っていたが、それは事実上唯一の双方向性のコミュニケーションツールとして使っていたからで、現在となっては投稿を見られることすらないので、既にその「困る」事態になっており、Twitterをやめても大差ない状況ではある。 Twitterはユーザーに対する誠実さがなく、その欲で自らの価値を損ねている。