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コンティークス・アイガーを捨て、ハーマンミラー・ミラ2を導入

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以前寝室のチェアを新しくして、ついでにワークルームのあり方を考えるで、従来使っていたコクヨ・エクサージュのシリンダーをもう限界と判断して、コンティークス・アイガーを導入した。

最大のポイントは「耐久性への期待」であった。 座り心地を妥協して、寝室で座っている時間を減らそうという考えだ。

だが、その記事でも触れたが、アイガーはあまり良くなかった。 当初から不安を感じていたが、半年とちょっとで破損してしまって、とてもがっかりした。 期待した「耐久性」も、まるでダメだったわけだ。

コンティークスの保証問い合わせは「販売店に問い合わせろ」というスタンスなので、ヨドバシカメラに問い合わせたが、アイガーが良くないがために体を壊してしまい、我慢の限界だったので、返答を待たず違うチェアを購入することにした。

アイガーの問題点

購入時点のレビューで

  • やや組みにくい構造
  • 組付けがしんどい精度
  • 値段なりのクッション
  • タイトすぎてフレームが当たっていたい

ということに触れた。 ついでに言うと、この時点で、ロッキングするとバキバキとだいぶ不安な音を立てているというのもあった。

そして使っていて思ったのは、フレームが当たるということに関しては慣れればなんとかなったのだが(といっても結構アザになったりした)、クッション性に関しては大いに問題があった。

というのも、この夏は動画変換をしていた関係で、ワークルームに全く入れなかった。 メインPCがずっと利用率100%になっていたのもあるし、ものすごい熱でもあるのでワークルームに入るのもかなりしんどい。

しかも、メインPCの利用率が高すぎてSSHアクセスもできなくなっていたこともあって夏場はずっとゲームをしていたため、ワークルームのZ400で作業するというわけにもいかず、寝室でゲームをしていた。

しかし、この結果として夏、腰を痛めた。 それも、痛くなった程度ではなく、起き上がることもできないレベルの腰痛がずっと続いた。

腰痛を生じる要因として、クルマに乗るようになったというのがある。 RX-8のシートはそこそこちゃんとしたシートではあるが、それでも私が体を痛めないようにするレベルの座り心地ではないし、しかも硬いスポーツカーなのでなかなかハードな乗り心地でもある。 これによってある程度腰に負担がかかっている状態で、ここにハードな椅子を組み合わせることでダメージが蓄積してしまった。

だが、エクサージュのときは、本当に長時間座っていると「腰が重い……」となることはあったが、ここまで激痛になることなどなかった。 結局、アイガーは体感的な座り心地以上に著しく体に負担をかけているということだ。

それだけでなく、夏にずっと寝室にいたら肩や腕もまともに動かないほど痛くなった。

なので、「失敗だったかなぁ」と思っていたところへ、破損だ。 非常に腹立たしいし、これが完調になったところでもう座りたいとは思えない。 結局、35000円ほどの出費がそのまま捨て銭になってしまった形だが、仕方ないとしか言いようがない。

関家具が扱うゲルテックスのベッドと、WINCASEチェアが私の無限に続く体に痛みを止めてくれたので、信頼していたのだが…………

買い替え

ヨドバシカメラから、新品交換する旨回答があったが、あまりにも体、特に腰が痛く、交換したところでアイガーに座り続けることは考えられなかった。

残念だったのは、ちょっと前までAmazonでコクヨのウィザード3のセールをしていたことだ。 ウィザード4への製品切り替えに伴うセールだと思うのだが、ローバック/ハイバックともに半額程度になっていた。 在庫が切れるまで続くかと思いきや、20日ほどでセールが終了。アイガーが壊れたのはその3日後のことで、完全にタイミングを逃してしまった。

単にチェアを考えた場合、アイガーから得られる教訓は「妥協は危険であり、体を壊す」ということだ。 ウィザード3は6万円くらいのオフィスチェアだが、最低限これくらいから考える必要があるように思う。

価格を一旦半ば無視して考えると、動きやすいチェアであるオカムラ・シルフィーや、WINcaseが良かったことも踏まえるならばエルゴヒューマン・プロ、「サスペンション腰掛け」とでも言うべきハーマンミラー・セトゥーチェア、あとはコクヨ・デュオラは良さそうと思っていた。 逆に言うと、「良さそう」と思えるチェアは結構少ないなとも思った。

実際に購入するとなると、基本的にはセール狙いで3万円くらいに抑えられないかというのが第一で、セール狙いが難しそうなら6〜7万円台がターゲットかなと考えた。

別のアプローチとして、作業はあくまでワークルームでやるから、寝室のチェアは短時間座るだけという考え方もあるのだけど、そんな考え方で耐久性重視でアイガーを導入した結果、結局現実にはアイガーに長時間座って腰を痛めた。

とにかく現実としては座るのだから、長時間座る前提で選択することにした。

そこで狙い目のチェアを探したのだが、なかなかピンとくるものがなかった。 シンプルに言ってしまえば、6〜7万円台という予算が、長時間座る前提だと不安に残るのだ。

そこで中古チェアを探し始めた。 従来、中古チェアはかなり低予算で掘り出し物を探したが、今回はそれなりに予算高めにして高級なチェアを探してみた。 それで目をつけたのがミラ2チェアだ。

ミラ2チェア概要

ミラ2は、アーロンチェアで有名なハーマンミラーのチェアだ。

ハーマンミラーが日本で販売しているオフィスチェアは全部で15種類。 私はアーロンチェアはあまり好きではなくて、関心があるのはコズムチェア。

だけど、まぁコズムほどではないにせよ、ハーマンミラーで有名なのはアーロンチェアとセイルチェア、通な人ならエンボディチェアといったところで、ミラ2チェアはマイナーなチェアである。 それでもそれらの3つに次ぐくらいの知名度のチェアだけれど。

特徴は、「動きやすさ」。 様々な姿勢に俊敏に反応・追従し、動きのあるデスクワークをサポートする。 隣のデスクと会話したり、書類を取ったり、モニターを見たり、書き仕事をしたりという姿勢が頻繁に変わるデスクワークをする人に適合する、というものだ。

アーロンチェア以上に柔軟に動いて体に追従し、アローンチェア以上に多彩な調整機能を持つ。 ……なんなら、多彩すぎる。なにせ、調整箇所が9箇所もあり、ハーマンミラーらしい豊富な段階を持っている。

「動きやすいチェア」だが、同時に「姿勢を固定できないチェア」でもある。 集中できる特定の姿勢で完全に固定したい人向けではない。

お値段はセイルチェアとアーロンチェアの中間。基本仕様で185,900円。 標準で25万円くらいするアーロンチェアやエンボディチェアほどじゃないけれど、まぁハイエンドなお値段。 (登場当初は13万円台だった模様で、ハーマンミラーのチェアは値上がりしているようだ。)

ちなみに、ハーマンミラーの椅子はアーロンチェアでもそこまで高そうに見えない(もちろん、アーロンチェアを知っている人には高そうに見える)ものだけど、セイル同様、ミラ2はほんとに高そうに見えない。 なにせ後ろから見ると思いっきりプラなのだ。 ただ、これはサポート力を担う構造なので仕方のない話。

ミラ2チェア選択の理由

寝室での椅子の使い方を考えてみると、かなり多彩で、落ち着きがない。 短時間触ったりすることもあるし、動画を見ながらなにかしたり、書き物したり、食事したり、あるいは着替えや洗濯物を畳むための腰掛けに使ったり、椅子の上でかなり動く上に、短時間で立ち上がったりもする。 寝室で座っているときは、そもそも状態として落ち着いてないことが多いから、体動もかなり多い。 一方で、ゲームしているときは集中しすぎて体が痛くなるまで動かなかったりもする。 ミラ2の、「動きやすく、動きに追従する」というコンセプトは、寝室での使い方を考えるととてもちょうどいいように思える。

グレードとしてはアーロンチェアより下だけど、買ったアーロンチェアを譲ってミラ2チェアに変えたという人も結構いるらしい。 オカムラでも「コンテッサよりバロンが究極」という人が結構いたりするけど、それに近い、人によってはこれこそが最高と言う、というものらしい。

さて、個人的にはミラ2のお値段は椅子に出していい値段だと思うのだけど、今回は新品を買ったわけではない。 というのも、寝室用の椅子だし、メイン用の椅子に置くにはスタイルが合わない。

そこで、いつものごとく(?)オフィスバスターズで購入した。 B+品で、総額で45000円ほど。中古のチェアとしてはまぁまぁ良い値段するけれど、人気の問題かコンテッサやアーロンチェアみたいに高くはない。

私が購入したのは、ダークターコイズ&スタジオホワイト仕様。 これがミラ2の定番なのか、中古ではこればっかり。 新品で買うなら、トワイライト&グラファイトかアルパイン&スタジオホワイトがいいかなぁ……

ミラ2チェアを使う

ハーマンミラー ミラ2チェア

ミラ2チェアを一目見たときに思ったのは、「複雑で、安っぽい」だ。

ハーマンミラーのチェアの全体的な傾向ではあるが、プラスチックむき出しで、全く高級感がない。 せめて塗装だけでももうちょっと高級感のある感じにできないものだろうかと思わなくはないけれど、多分そこに力を入れる気はそもそもないのだろう。 ゲーミングルームの映え写真などには向かないが、考え方としては一貫しているので悪くない。

素材感では「高いチェアだ」とは全く思えないが、一方で形状はかなり複雑だ。 特に青白カラーだと座面と機構のコントラストが強く、宙に浮いた座面と、その下にある大きな機構の存在感がすごい。

知らない人がこのチェアを高級だと思うかどうかは、どこに着目するかによるだろう。

オフィスバスターズはいつもの如くクリーニングが甘いので、アルカリ電解水で清掃を行う。 機構が複雑で手間がかかるが、座面及び背面は薄いメッシュが1枚なので非常に簡単。座面を押したり叩いたりするのはかなり大変なので、これは大きなメリット。

調整可能な箇所は

  • 座面高さ
  • 座面奥行き (5段階)
  • ロッキング深さ (4段階)
  • ロッキング硬さ (無段階)
  • 前傾チルトオン/オフ
  • 4Dアームレスト
  • バックサポート位置 (7段)
  • バックサポート強さ (左右各5段)

の9箇所13項目。 4Dアームレストは横5段、前後8段、角度3段、高さ10段の調整幅。

この調整幅を駆使してチェアと体を合わせるのが第一歩になる。

アームレストは多くのチェアがデスクワークでは自然な位置で腕を支えることができない中、高さをかなり高くすることができ、幅も結構狭められ、角度もかなり有効なのでキーボードにせよマウスにせよ、しっかり腕を支えた状態で使うことができる。 また、座面近くまで下げることができ、アームレストの上下は非常に手早くできるので邪魔にもならない。

座った瞬間にその硬さと安定感に驚く。ばちっと体を受け止め、びくりともしない。 WINcaseでも座った瞬間には少し遊びがあるというか、ガタッとするけれど、それがない。

ガタツキがないだけでなく、単純に沈み込みがないという意味でもある。 ハニカムクッションを併用するとクッション性が高まったように感じられるが、実際の体への負担を考えるとクッションの追加はやめたほうがいいだろう。

非常にサポート力が高く、しっかり体を固定する。 なかなか例えるのが難しい感覚だが、サポート感は「姿勢を保て、体を動かすな」と言われているようだ。

こういう場合、動きたいときは背中を離して動くものだと思うが、このチェアはそうすべきではなく、深く腰掛け、ぴったりと背中を合わせるのが正しい。ロッキング(リクライニング)機能により背中が押すのに合わせてバックが動き、その状態で行う上半身の動作に追従する。

このチェアは体をしっかりチェアにつけたまま正しい姿勢を保つという、あまり他ではないことをするために少し慣れが必要であり、そのようにすれば体をチェアがサポートしてくれる。大事なのは、仙骨を立て、背筋を伸ばし、しっかりと深く座り、チェアに身を任せることだ。

書き物をしたり、机に肘をつきたい状況では前傾チルトがなかなか効果的。このチェアに座ったまま食事をする場合もいいかもしれない。 前傾しつつも椅子が体を支えてくれる感覚は新鮮だ。ロッキングの深さのうち、一番浅い1段は前傾チルトを有効にした場合のみ機能し、前傾の状態を維持する。

特筆すべき長所のひとつとして、すごく立ち上がりやすい。 立ったり座ったりを繰り返す環境にも適しているだろう。

中古であることに加え、私は体重が重いため、きしみはある程度発生する。コンディションの違いもあり、ここはWINcaseのほうが優れている。

タイピングの快適性はなかなか類を見ないレベルだ。腕を完璧に支えてくれるアームレストの効果が非常に大きい。 これだけで肩や腕、首の痛みが大きく緩和される。 アームレストの角度でマウスに最適化することもできるので、キーマウプレイのゲームでも効果を発揮するだろう。

デスクに直接ラップトップを置いて作業するときも同様だ。自由度の低いラップトップのポジションに合わせることができる。

試しにパッドを使うゲームもやってみた。 アームレストの可動範囲が広く、アームレストを後ろに下げて、ロッキングのテンションを少し下げるとかなり快適にプレイできた。 ただ、本来ハーマンミラーのチェアは頻繁に調整するようなものではないから、耐久性の面ではちょっと不安かもしれない。

見た目にはかなり大きい。だが、その大きさの印象は背もたれの大きさによるところが大きい。座面が機構の上に浮いた構造になっており、背もたれは機構の下側からある。 さらに背中から肩までを覆うサイズなので、単純に大きいということもあり、かなり存在感のある背もたれになっている。 だが、実際は離席すれば自動的に立った状態になることもありかなりコンパクト。 特に前後長が短く、机の下に入れた状態で後ろに飛び出る部分は非常に短いため、前後方向に空間が狭い寝室でもかなり広く使える。 従来のアイガーだとベッドとの位置関係に気を遣う必要があったので、かなり違いを感じる。

座面はちょっとファブリック感のあるタッチ。 アームレストはがっつりクッションが入っている。

実際に長時間座ってみてだが、腰が痛いときは腰を伸ばすのが難しく、窮屈さを感じる。 だが、そもそも腰が痛いときに座ると、アイガーは「ぐあ」となるし、WINcaseもずーんという重さを感じる。 それに対してミラ2チェアは腰痛の存在感を増大させる感じがないので、体への負担はより小さいという印象。

一方、「ちゃんと座る」ことが非常に重要なチェアであるため、集中力が高い状態を維持することが前提で、ある程度健康状態が良好でないとしんどいチェアでもある。 リラックスには向かないし、動画を見たり食事をしたりといった使い方は、普通にできはするものの、精神状態と噛み合わず向いていない。また、寝起きや風呂上がりにだらーっとするのにも全く向かない。 完全に「仕事モード」で座るチェアだ。

また、「仕事モード」についても、ゆるやかな集中を長く維持して作業しつづけることや、後傾姿勢でコックピットのような環境でPC作業をすることには適さない。 なので、「明確なオンオフのある仕事モード」向き。

とても重要なのが、ロッキングのテンション調整。硬すぎると体を痛める。 適切なテンションは、体重と体幹の強さによって決まるように思い、負荷がかかっても良い姿勢を維持できるだけの体幹がないと逆に体を痛めてしまう印象である。 また、体をしっかりと椅子に預けていないと体を痛めやすいため、できるだけ深く座り、背もたれに体重をかける。 ロッキングのテンションを適切に設定していればこの状態でリミットの位置まで倒れる。つまり、標準位置がリミットの位置であり、ここから立ち上がる、あるいは体を起こすときに前に倒れるものだと思ったほうが良い。 中途半端な位置に止まるようなテンション調整はうまくいかない。適切なテンション調整に続いてロッキング位置の設定も大事ということだ。

またも考え直すワークルームと寝室の関係性

設備的には、ワークルームと寝室は変わっていない。 まぁ、不調になったオーディオインターフェイスの入れ替えはいたけれど。

そもそもそこに至る話をすると、ワークルームは開業してから、一日中コンピュータを使って作業し続けていることが多く、体への負担も大きく、起きているほとんどの時間をPCと過ごすライフスタイルであったことから繋がっている。 一日中座って、一日中集中して作業をしていられる、かつ高い効率を維持できるという環境を求めていたわけだ。

今の家に引っ越す前は寝床と作業空間がオーバーラップしていて、「布団をまっすぐ敷けない」という空間だった。引っ越しは、作業空間と寝室を分離し、作業空間の効率化を目指した。

当初はそのコンセプト通りに使われていたし、そもそも寝室にPCを置いていなかった。 だが、寝室で寝る前にYouTubeを見たりして「オフモードに入る」というフェーズを置きたいという考えから寝室にデスクを設置した。これは「余り物を処分せずに活用する」ということでもあった。

状況が変化してきたのは、2020年のこと。 要因は2つで、ひとつは私が会社に入って仕事をするようになったこと。 もうひとつは、私がゲームをするようになったことだ。

会社の仕事は貸与品のラップトップで行うので、ワークルームで作業する価値がだいぶ低い。 そもそも、従来の「時刻という概念を無視してひたすらワークルームで集中する」ということができなくなったので、ワークルームとの結びつきが弱くなった。 そして、その会社の仕事時間に対するオンオフ切り替えを目指して、ゲームを寝室でやっていたところ、必然的に寝室でPCに触っている時間が長くなり、結果として寝室で済ませてしまうことが増えた。

この状態から脱せないというか、そもそもワークルームで長時間作業をする時間というのが作り出せないため、基本的に寝室で事足りるし、むしろスタンダードな構成になっている寝室のほうが使いやすいということですらあった。

この状態は今に至るまで改善を試みている。ワークルームはその状態になったとき、ラップトップを置いて作業できる状態ではなかったが、デスクを2度変更し、現在は問題なく作業可能だ。 また、ビデオカード搭載のPCを寝室に置いたことで、ゲームをする場所が寝室に縛られていたが、現行最強のビデオカードをメインPCに導入したことでゲームにおいてもワークルーム有利にした。

しかし現状としては「惰性で暮らすと寝室で完結してしまう」という状態なので、ついついワークルームへの移動を忘れる……というよりも、そのまま寝室で作業を始めてしまい、ワークルームを使わないままになるというのが悩みどころだ。

アイガーを導入したとき、寝室にいる時間を減らす前提で考えていた。 実際そのように努力したが、どうしてもメインPCが100%稼働している状態だと、2番目に強力なPCは寝室にある状態だし、ゲームに使えるPCは寝室にしかない、という事情で結局ワークルームに立ち入らず寝室にいたことで体を壊した。

このことについて、観点はたくさんあり、問題は根深い。 そもそも「寝室での作業を忌避すべきかどうか」という点についても、考え直すべきかもしれないし、それでも2つの作業空間を持つことは、コストの意味でも空間効率の意味でも良いことではない。

ただ、もっとシンプルに考えれば、寝室にどのみち椅子は必要で、どういう位置づけにせよ現実的にドラムスローンのような簡易な椅子ではどうにもならない。 現状に至るまで寝室を作業空間にするために費やしたコストはあまり多くはなく、今回ミラ2を投入したのも実際のところ最低限に近い。1

寝室のデスク周りの空間はスキマを活用してコンパクトにまとまっていて、これをなくしても特に有意義な使い途はない。 将来的な意味や、あるいは生産性の観点からは考えていくべきだろうけれど、今のところは寝室で作業することが少なくなく、実際寝室で作業せざるをえないということを受け入れるのが良いのかな、と思ってはいる。 余計なストレスを防ぐという意味でも、体を壊さないようにするという意味でも。

私の究極のチェアはなんだろう

今回、寝室での自分の動きを考えたところ、動きやすく、立ったり座ったりを繰り返すときも、あるいは長時間没頭するときも良いというチェアが望ましいことがわかった。できればタイトなものより、ゆったりとしたチェアが良い。 ミラ2はもしかすると理想的なチェアかもしれない。

ではワークルームではどうだろうか。

現在のWINcaseはかなり理想的なチェアだと思っているが、問題も感じている。 一番の問題は、「ずり落ちてしまう」ということだ。

WINcaseはロッキングしない構造で、リクライニングは背もたれだけが倒れる。 座面は特に手前が高くなっているといったこともないため、後傾姿勢を取るとずり落ちてしまうし、割と体が安定しない。

また、そういった意味では頭が安定しにくいチェアでもある。ヘッドレストがもう少し後ろにほしい。

ワークルームでは、とにかく体が安定し、かつずっと同じ姿勢でいても負担がかからない椅子であり、その上で適切な後傾姿勢を維持できることが希望だ。

しかしその観点で見ると選択肢はあまりない。オフィスチェアはかなり「動く」方向に考えられており、姿勢を固める感じではない。 比較的高める方向のアーロンチェアは、後傾姿勢で固定できるようになっていない。

体のブレを抑えるようにしっかりと包み込んで固定してほしい。ベッドやソファがイメージに近いだろうか。 それで後傾姿勢で頭も腕も支えてほしい。

思うに、それはクルマのスポーツシートではないだろうか。

クルマのスポーツシートは、運転時のGで体がブレないように体を固定する。 レーシングシートはガチガチにかためて体を動かないようにするのが第一だが、単に良いクルマのシートというと長距離ドライブを意識して、長時間着座姿勢を保ったままでも負担が少ないように設計される。

そう考えるとBRIDEのシートとシートレールというのは良さそうだ。

BRIDEはクルマ用のシートメーカーだ。 もちろん、レーシングシートもある。

STREAMS CRUZシートは体がズレてしまわないようにほどよいホールドを維持し、ドライビングポジションをキープさせるとともに、クルマの揺れや地面からの衝撃による負担を軽減し、快適にロングドライブできるように設計されている。 座面はちゃんとお尻の場所、脚の場所というのがはっきりしていて、包み込むように支えてくれるシートだ。

そしてBRIDEには、マルチキャスターProという、BRIDEシートをオフィスチェア化する脚部がある。 かなりこだわって作られているらしい。

マルチキャスターProは33000円、STREAMS CRUZは128700円なので、合わせて161700円。 安くはないが、高級オフィスチェアと比べるとまぁまぁ安いほう(エルゴヒューマンプロと同じくらい)。 送料は、関東ならシート、キャスターともに2200円とお安い。

これはかなり良いのではないだろうか。

心配な点としては、一番はアームレストが3Dで、キーボードまで一直線に伸びるようなセッティングが可能か少しあやしいところ。 あとは、分厚いシートに密着することになるため、蒸れは避けられないだろう。

とはいえ、いいクルマのシートというのは本当によくて、乗り心地の悪いスポーツカーを6時間くらい運転してもちょっと体をほぐしたくなる程度で痛みは出ない。 体を支えてくれるという点で優れているのは疑う余地もなく、身じろぎもせずに集中したいのならこれ以上ない選択なのではないだろうか。

なお、前回、今回の椅子選びで、ゲーミングチェアはバケットシートのように体を包み込んでくれる風の形をしているだけで、実際は出っ張ってる部分に体が当たると痛いので、包み込んではくれない。 そもそも、ゲーミングチェアの出っ張っているところはパイプフレームの上にガワをかぶせているような構造だけど、クルマのシートの場合背面に骨格があるだけで出っ張っている部分にフレームはない。 フルバケットシートの場合は、そもそもモノコックシェルの内側にクッションを貼ったような構造なので根本的に違う。

まぁ、それを実証するのはWINcaseがだめになった後の話。きっと当分先だろう。

今までのチェアの感想まとめ

今の家で使ったもののみ。

メーカー (販売者) 製品名 感想
ニトリ デュオレハイ 肩甲骨だけで無理に支えられるので、腰へのダメージが大きい。全身に無理があり、痛めていると感じる。4ヶ月ほどで背もたれが折れた
ニトリ プロンタ 背もたれによりかかると、体重を支えられずパイプが曲がっていく
コクヨ エクサージュ (キャスター/ハイバック) 電車の座席のような座り心地でだいぶ快適。折れたりはしないが、背もたれがやわく、かなりしなるのでちょっと不安
オカムラ バロン (クッション座面/ローバック/アームレストなし) クッションがへたっており、あまり実用的でなかった。背もたれのフレームが背中に当たり、かなり痛い
関家具 WINcase 非常に品質がよく、座っていて体が楽。腰痛も解消できた。座面がフラットでリクライニングに連動しないので、リクライニングすると滑り落ちやすい
コンティークス アイガー 硬くて、狭くて、フレームが当たって痛い。体の収まりが悪く、座った感触以上に腰への負担が大きくかなり体を痛めた
ハーマンミラー ミラ2チェア 体が安定し、それでいて動きやすく、非常に優れている。常にびしっとしていることを強いられるのでリラックスには向かない

これまでの教訓。

  • 椅子を買うときは最低15万円は考えるべき
  • 体を痛める前にいい椅子を買え
  • それでも椅子は消耗品だと思え